オーセンティックバーは接待を伴う飲食店?
時は2019年12月、中国の武漢で新型コロナウイルス(COVID-19)の初めての感染者が報告され、その翌年には瞬く間に世界中に広がってパンデミックの状態になりました。
日本も例外ではなく、感染拡大を防ぐため不要不急の外出は控えるように国や自治体からお願いが出されていました。
また、感染拡大の一因が「接待を伴う飲食店」にあるとして、それらの業種の店に対して休業要請が出されるようになってきました。
そんなある日のこと、、、
web担さん、新潟県から休業要請が出たので従うことにします。HPに臨時休業のお知らせを出してもらえませんか。
店が開けられないとなると売り上げゼロですよ、困ったな・・・
とうとう新潟県でも要請が出ちゃいましたか。わかりました。じゃあちょっと調べてから掲載する内容を考えますね。
-- web担が新潟県のHPを調べている --
ええっと、まず新潟県の休止の要請の対象の施設は、、、。
「遊興施設等」と「運動、遊技施設」があるのね。何これ、遊興?読めないし、意味わからないよ。まあいいや。あとで調べよう。
そして遊興施設の例として何があるのかと言うと、、、
ふむふむ、「キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、スナック、個室付浴場業に係る公衆浴場、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス 等」?!
ちょ、ちょ、ちょっとマスターぁぁぁ!
どうかされましたか?
バ、バ、バーが!
バーがストリップ劇場とかと同列になってますがっ?!
バーもいろいろありますからねぇ。
いやいやいやいやっ! 天地がひっくり返ってもマスターとこのオーセンティックバーはストリップ劇場とは同列にはならないでしょうよ!
そもそもマスターのお店、「接待を伴う飲食店」じゃないですよね?
「接待」という定義も調べましたよ。特定のお客のそばにとどまっておしゃべりしたりお酌したり、一緒に歌を歌ったりダンスしたり、、、などなど細かく決められています。そして接待をしたいなら風俗営業の許可を取らなきゃいけない。
昔の考え方で、全部まとめて水商売ってやつですね。
しかも! バーに対しては休業要請が出てるのに、居酒屋は対象外らしいですよ? バーが水商売なら居酒屋だって水商売じゃないですか! 同じ飲み屋なのにどういう差別?
スーパーや飲食店は休業要請の対象外だそうですよ。居酒屋は飲食店扱いということで大丈夫なんでしょう。
居酒屋が飲食店ならバーだって飲食店じゃないですか!
居酒屋のほうが人が多くて騒々しくて飲んだくれてツバがいっぱい飛んでるのに(注:web担の個人的な感想です)、静かな環境の落ち着いたオーセンティックバーの方がコロナに感染しやすいってこと?
誰が決めたのよ、こんなこと。信じられないっ
まあまあweb担さん、落ち着いてください。
仕方ないですよ、決められたことなんですから従うしかないんです。
(でも、これからどうやって生計を立てていけばいいんだろう・・・)
-- その後、休業要請や時短営業の要請が幾度となく国や自治体から出されました --
-- それから4年後、コロナ禍も収まりつつあり、飲食店への客足もある程度元に戻ってきた2024年のある日 --
マ、マ、マスターーーー!
どうしました?
国が決めている産業分類上で、オーセンティックバーは「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の区分に入っていたのが、この4月(2024年)から「酒場、ビヤホール」の区分に変更になったって、ホントですか?
っていうか、今まで、オーセンティックバーはキャバレーやナイトクラブと同類だと国が決めていたって事が、かなり衝撃的な事実なんですけど!
ん? ああ、4月から変わったんですか。全然気にしてなかったです。
まぁ、バーもキャバレーもスナックもクラブも全部まとめて水商売ってやつですよ。はははは
はははって、重大ニュースなのにむっちゃ軽いリアクションですねー。
こんなHPのネタになるような話、なんで教えてくれなかったんですかー。ぷんぷん。
産業分類自体は、何か書類を申請とかしたりしないと必要になってこないですからねぇ。
あの4年前のコロナ禍の時に「接待を伴う飲食店」としてバーは名指しで悪者扱いされたじゃないですか。
あれ、もとを正せば、国が定めた日本標準産業分類が原因っぽいですよ。
公的な補助金や助成金、税金、保険などはたいていこの標準産業分類による業種で額面が決定されるという、かなり重要なシロモノだそうです。
ああ、税金手続きや補助金申請などをする時の書類で、業種の項目に書かなければならないやつですね。
確かバーは、大分類が「宿泊業、飲食サービス業」で、中分類が「飲食店」、だったかな。
そうそう、それです。
その中分類の下に小分類と細分類があるのですが、バーは「バー、キャバレー、ナイトクラブ」に分類されています。
ちなみに居酒屋は「酒場、ビヤホール」に分類されています。
うーん、まあそうなんでしょうねぇ。
問題はその細分類の説明です。
「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の細分類の説明では、「主として洋酒や料理などを提供し、客に遊興飲食させる事業所をいう。」とあります。
「遊興」飲食?
言葉の定義がわからなかったので調べました。まず、「遊興」は「ゆうきょう」と読みます。
遊興とは、遊び興じること。
「興じる」も普段使わない言葉ですけど、「きょうじる」と読み、「面白がって楽しんだり熱中したりする」という意味になります。
風俗営業などに関わる法律の解釈では、「遊興をさせる」とは、「営業者側の積極的な働きかけによって客に遊び興じさせること」とあります。
具体例として、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたり、スポーツの応援をさせたりなどがあるそうです。
そんなことはうちでは一切やっていませんよ。
バーも色々な形態があるから、遊興飲食をさせているところも多いんだろうと思いますが、少なくともオーセンティックバーでのイメージではないですよねぇ。
オーセンティックバーと名乗っていて遊興飲食をさせる、かぁ。ちょっと考えにくいですね。
そういうこともあって、カクテル文化振興会さんと日本バーテンダー協会さんと日本ホテルバーメンズ協会さんの連名で、「オーセンティックバーは遊興施設ではなく、酒場やビヤホールと同じ飲食店である」と、国に区分の変更を求める要望書を提出していたそうです。
で、やっと改定してもらって施行されたのが2024年4月1日。
色々な協会の方々が頑張ってくださったんですねー。感謝感謝です。
改定後の細分類「酒場、ビヤホール」の事例を見ると、「大衆酒場;居酒屋;ダイニングバー;オーセンティックバー」とちゃんと明記されています!
これで次に「接待を伴う飲食店」に対して休業要請が出された時には、オーセンティックバーは対象外となりますね。
いやいや、休業要請が出るようなこと自体、もう勘弁してもらいたいです。